あの日ウェストハム

ウェストハムファンが思ったこと書くブログ

大丈夫このチーム?第2節ブライトン戦

はじめに

最近思います。いや、最近というか昨季から思ってたんですけど

このチームをペジェグリーニに任せていいのでしょうか?現代フットボールにおいてウェストハムは流石に時代に置いて行かれすぎだと思います。確かにペジェグリーニは名将です。彼は選手からの人望も厚いし、実績もある。交代策でチームのバランスを整えてくれる。しかしこの1年間でペジェグリーニがもたらしてくれたものは何でしょうか?僕にはいまいちピンときません。このチームには変化、新しい風が必要です。彼はこのチームに組織を作る気はないのでしょうか?

 今回はこのチームのヤバさをデータも使って示したいと思います。では始めます。

データはWhoscoredを参照。

https://www.whoscored.com/Matches/1375939/Live/England-Premier-League-2019-2020-Brighton-West-Ham

 

 1.スターティングメンバー

f:id:ka1rara:20190819174555p:plain

 ブライトンは3‐4‐3。注目はトロサードとマレー。あと個人的にバーンという198cmのイングランド人CBは気になります。多分ウィガンの選手だった気が…

ウェストハムはアレとフェリペが一時的な離脱により、代役はチチャ、スノッドグラスが出場。

2.前半

・ボール保持時

問題のビルドアップ

f:id:ka1rara:20190819145935p:plain

あんまり言いたくはないんですが、ウェストハムのビルドアップはプレミアリーグの中でもワーストクラスです。そしてブライトンにもそれがバレていました。

ウェストハムのほとんどの傾向としてライスを経由して前進しようとします。そこでブライトンはそれほど前からハメようとせず、3トップはライスを囲むように位置していました。さらにIHのウィルシャーやフォルナルスへのパスコースが消されます。これによりディオプやオグはSBへとパス。そして前方のSHにボールを渡します。

f:id:ka1rara:20190819151851p:plain

SHに入った瞬間、ブライトンのWBは前を向かせないプレスを掛けます。たまらずSHはSBへリターンパス。ブライトンの本来の狙いはこれ。ここで三角形を形成していたWGの選手がじりじりとSBへプレス。高い位置からのショートカウンター。このブライトンの非常に良く組織された守備により、ウェストハムは見事にビルドアップをないものとされた。

f:id:ka1rara:20190819165223p:plain

これはボールが奪われた回数を示したデータです。SHのスノッドグラスがボールを奪われた回数は4回。これは決してスノッドグラスを叩くためのデータではありません。むしろこのチームの問題に巻き込まれた被害者とも言えます。てかランシーニはあれだけドリブルしといて一回しか取られてないんですね。

そしてマスアクは3回も奪われています。彼が7.2というとんでも高い評価点を付けられは、インターセプトしたボールが不安定ながらもランシーニが何とかマイボールにしてアシストしてくれたからです。さらに彼はボールタッチ数99と割と化け物スタッツを残しています。めちゃめちゃすごいじゃん!と思うかもしれませんが…

f:id:ka1rara:20190819171349p:plain

これがマスアクのヒートマップです。マスアクはこの高くも低くもない中途半端な所でボールを触ってただけです。本当にいいプレーをしたのかどうかはディティールまでみないといけません。が、マスアクのタックル数5回は両チーム合わせて1位です。彼は攻撃面ではイマイチ自分の力を出し切れていませんが、対人守備においては頼りになる存在です。寄せの速さはチーム1です。もちろん彼のドリブルはほんとに大好きだし、彼が前みたいに高い位置でガンガン仕掛ける姿がまた見たいです。だからこそペジェグリーニにはマスアクだけでなく、みんなの能力が生かせるような組織を作ってほしいのです。


話が長くなりましたが

このあとなんとかSBで取られてカウンターは避けられましたが、結局はGKまで戻され、ターゲットのいない前線へロングボールを蹴らされました。そのため前半はほとんど攻撃チャンスはありませんでした。圧倒的に空中戦で負けてたので。はい。データを出すほどではありませんね。

 

・ボール非保持時

前半特にひどかったのは前線からのプレス。アドリブ交じりのプレスはブライトンの思うままにボールを運ばれていました。

f:id:ka1rara:20190818204258p:plain

3バックに1トップでは、ビルドアップの出口を全く封鎖できなかった。そのためCBに簡単に持ち運ばれ、あっという間に三角形の出来上がり。CBからウイングへの縦パスも何度も通された。

f:id:ka1rara:20190818235727p:plain 

ハーフスペースに入った選手に壁パス。ワンツーで運ばれた。

f:id:ka1rara:20190818212344p:plain

前半はこのようなシーンが多発。

 

徐々に修正したウェストハムSHのフォルナルスとスノッドが相手のCBまで自身のマークをカバーシャドウしながらプレスするようになります。

f:id:ka1rara:20190818211450p:plain

相手の右CBは逆サイドへフィードミス。ビルドアップを妨害できた。

しかしブライトンは一発でやり方を変える。

f:id:ka1rara:20190818213500p:plain

ブライトンはGKが3バックの真ん中のようにビルドアップをするようになる。しかもこのGKかなり蹴り分けられるタイプで、かなり厄介だった。これにより3バックの一人が浮き、ウチの中盤はここまでプレスに行かないといけなくなった。というか、GKまで戻させたもであれば、前線の仕事はこれで終わりでよかったのです。あとは後ろががっちりマークについてロングボールに競り勝つ!そしてそのこぼれ球を回収できるポジションを中盤が取る!それでよかったのでは?無理にアドリブで前からはめようとしてブライトンのドツボにわざわざハマりに行ったのはなぜでしょうか…

ウェストハムはVARもあり、奇跡的に0‐0で終わることが出来ました。しかし力の差は歴然でした。これが今シーズンのワーストゲームであることを願います。

 

3.後半

ウィルシャーに代わってアントニオ。理由はウィルシャーのボールタッチ回数でしょう。彼はIHでプレーし、前半で15回しかボールに触れませんでした。ブライトンのライス妨害がかなり効いてましたね。

 いい加減ライスの脇のスペースを使われるのが嫌になったのか、スノッドグラスボランチで使います。スノッドグラスを。いやいや流石に無理でしょ。元々ウイングの選手ですよ?あとこんなに上手いフォルナルスですが、意外かつ決定的な弱点が一つあります。それはクロスがド下手なのです。なので彼を4‐4‐2のサイドで使うには少々無茶がある。突破力もそこまであるわけではないし。じゃあ彼は何ができるの?と言われたら、彼は間受けのスペシャリストだと答えます。縦パスのコースを提示し、周りと関わりながら前へ出て行き、得点に絡んでいくのが素晴らしく上手い選手です。守備の読みも鋭く、適正はIHでしょう。しかし今のこのチーム状態では輝きづらい選手の一人かもしれません。それでも彼は自分の実力を要所要所で見せているはずです。なので彼が期待外れだったと意味のない叩きは止めましょう。組織がなく、選手に明確なタスクを負わせることのできないウェストハムが悪いのですから。個人的にはフォルナルスウェストハムの顔になってほしいのですが、叶うでしょうか。

f:id:ka1rara:20190819215752p:plain

 話を戻しますとスノッドグラスライスの横を守らせるのはいくら何でも無理があります。確かにやらかしはしますが、カルロスサンチェスを投入すべきだったでしょう。

 

・ボール保持時

4‐4‐2にしてアントニオを投入したおかげでダメだったロングボール回収率が上がった後半。50分経って初めて相手陣に押し込みます。

 エースの帰還

みなさん、ウェストハムといえば誰を最初に思い浮かびますか?僕は一番にランシーニが浮かびます。ウェストハムは彼のチームであることをこの試合で証明しました。まるでアザールかのように3.4人に囲まれてもドリブル突破。左サイドの一番手に名乗り出ました。

ランシーニのドリブル突破からの得点

f:id:ka1rara:20190823133924p:plainマスアクの寄せでこぼれたボールをランシーニが運び、一人かわしたところをこのDFの集中具合。彼のドリブルにブライトンの選手は釘付けになっていますが、一人だけ淡々とゴールを狙う選手が。チチャリートは相手の背中を取る、見事なタイミングで裏へ抜け出しいとも簡単にゴール。ウェストハムの前線は彼が同じチームに所属してくれることに感謝すべきです。まだ若いアレはまだまだチチャから学べるはずです。

 

・ボール非保持時

ライスの相方問題

4‐4‐2になったおかげで一人ひとりの守備範囲が明確になった分、責任も重くなります。やはり厳しかったのはスノッドグラスボランチ起用。ボランチというポジションは献身的なだけで勤まるポジションではありません。決定的なシーンをいくつか作られていました。一例をあげると

f:id:ka1rara:20190820015927p:plain

これはスローインしたボールを奪われたシーンなのですが、スノッドグラスは前線へと走っていました。彼の長所は前線にガンガン飛び出して行ったり、守備に全力で戻ったり、上下動を惜しみなく徹底できることです。だから彼もIHではウェストハムで欠かせない存在まで登り詰めたのです。

f:id:ka1rara:20190820020243p:plain

時すでに遅し。あとは祈るのみでしたが、スノッドグラスの願いは通じたのか、トロサードのシュートは全くミートせずゴールキックに終わりました。守備時もガンガン飛び出してプレスをかけようとしていたので、ライスの横がガラガラになり、ライスも本来いないと行けない場所から少しずれたポジショニングを取らざるを得なくなりました。

そして82分。個人的には待望の布陣でした。

f:id:ka1rara:20190822134626p:plain

チチャに変わり、カルロスサンチェス投入。ライスとの待望の2ボランチです。
フォーメーションは4‐2‐3‐1に変更。スノッドグラスをトップ下に迎え入れます。

ずっと思ってたんですが、ライスの相方問題はライスのローテを務めるカルロスでいいんじゃないかと。彼はW杯でのミスで短所だけが目立つようになりましたが、セリエAで培ってきた実力は本物です。ボールを持った時の判断は少し厳しいものはありますが、周りをよく見て気配りの良いポジションを取ってくれます。

f:id:ka1rara:20190822141038p:plain

15番カルロス

ブライトン6番にボールが出てもあたりに行ける位置

f:id:ka1rara:20190822141556p:plain

オグボンナが出て行って空いたニアを潰す。

ライスの空けたスペースにしっかり入れる選手はウェストハムではカルロスしかいません。また次もみたい布陣です。

 

改善された前線のプレス

前半で散々やられたウェストハムの前線ですから、後半は少し慎重になりました。

f:id:ka1rara:20190822130959p:plain

まず4‐4‐2に変更後、前線が2枚。ビルドアップの妨害はしやすくなった。ブライトンのCBは決してビルドアップ能力に長けているわけではないので、2トップは少し待つようになりジリジリとブライトンCBを追い詰め、チチャのプレスとアントニオの献身的なパスコース切りのおかげでロングボールを蹴らせることに成功しました。

 

まとめ

ブライトンのCBはビルドアップが上手な選手ではありません。この試合でもパスミスが多かったし、冷静な判断もできないときもありました。しかし、彼らは挑戦しているのです。苦手だからやらないのではなく、今の時代に何とか食いついていこうと監督と選手が一体となって上を目指しているのです。こういうチームは絶対強くなる。ウェストハムは選手の質では圧倒していますが、本題のサッカーでは圧倒的に負けているのです。ウェストハムがいくら良い選手を補強してもこのままじゃ無駄なのが関の山です。ビッグ6に食いつくどころか、はたして残留できるのかと。決して言い過ぎではないと思います。このサッカーを昨季から現在、続けていくのなら未来はないでしょう。この不安定さもロマンなのか…?ではまた書きます。